2010年9月14日火曜日

三者ともに,お見事!!

8月のある日曜日の午後,駅前で署名活動が行われていました。
拡声器を使って,必死に市民に呼びかけていたのは,県弁護士会の弁護士さんたちでした。
足を止めてその訴えに耳を傾けてみると,主な内容は次のようなものでした。


日本は,先進国の中でも,「人口に対する弁護士数の割合が低いという問題」を解決するための方策として,数年前に司法試験制度が変わった。
法科大学院を修了することを受験資格として義務付けたり,試験そのものも比較的簡単にしたりした結果,旧試験制度の頃とは比にならないほど合格者数が増えた。
しかし,新制度のもとで受験できるチャンスは3回しかない。
しかも,司法修習生に国が給与を支給する「給与制」は10月末で廃止し,11月からは国が資金を貸与し無利子で返還させる「貸与制」に切り替わることになっている。

弁護士の数は増えても,結局のところ仕事は,経験豊富な有力弁護士事務所に集中することが多いので,頑張って一代で弁護士になった人のもとへはあまり仕事は回ってこない。
つまり,二世弁護士以外は,なかなか厳しいというわけだ。
そういう状況なのに,国は「給与制」から「貸与制」に切り替えるという。
これでは,本当に優秀な弁護士,有望な弁護士,正義感溢れる意欲的な弁護士が育たなくなってしまう。
何としても,「給与制」の維持を求め,改正案を国会に提出し成立させて欲しい。


確かに現行の法制度では,そもそもの問題の解決には結び付かず,かえって別の問題を引き起こしてしまうだけではないか,と訴えを聴きながら思いました。
そこで,一市民として署名に協力し,頑張ってくださいと伝えてその場を去りました。

今朝の読売新聞に,「司法修習生の給与継続」という記事を見つけました。
おそらく,先日のような署名活動が全国の都道府県で行われ,集まった署名を日本弁護士連盟が政府に提出し,その訴えが認められたのでしょう。
「政策調査会の了承を経て,議員立法による裁判所法改正を目指す」とありました。

制度・政策は,よりよい社会をめざして常に見直されつくり変えられるものであり,社会の在るべき姿とはそういうものでなければなりません。
これぞ,社会形成教育の社会科がめざす姿の1つである,と思いました。

日弁連の方々,署名活動に協力した市民,訴えを受け入れた政府機関,三者ともに見事であったなあと微笑んだところです。

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